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花火師は奥の深い仕事
「花火って奥が深いんですよ」。入社4年目を迎える新堀さんは会話の途中で何度もそう言った。ひとつのことができるようになってもまた次があるしその次もあるしと言う。花火が光る色のもととなる丸い「星」についても、たった1センチ大きくするのに1ヶ月以上もかかるのだと話しながら、「色によって薬品のかけ方が違うし、気象が変わるとまたかけ方を変えなければならない。生き物みたいです。奥が深いです」と言う。そして「星」と、玉を破裂させる「割薬」とを交互に玉の中につめて行く「仕込み」の工程については、「仕込みがうまくいったと思っても、上げてみると違うことがある。根詰めたほうがいいとは限らない」と分析し、仕込みが一番むずかしいと言う。 やりたいことやってお金をもらっているので本当に幸せですと新堀さんははにかむ。「のびのびやってるのを見てるから家族も喜んでると思います、今はね」と笑った。 スーツに未練はない
一方、夏の花火大会で毎年接触のあった野村花火の仕事ぶりには以前から魅力を感じていた。ものすごい音、光。その中で半纏姿で立ち働く男たちをカッコイイと思っていた。自分も作ってみたい、上げてみたい。花火は素晴らしい。しかも、野村花火は大きな賞をいくつも手にする実力ある会社だった。やるならこういうところで技術を磨きたいと思える一流の会社だった。迷いはなかったという。近くにこんな会社があってラッキー、そう思って社長に会いに行ったら、「華やかに見えるが、普段は地味だぞ」と言われた。しかし普段の仕事が地味であることは想像がついていた。体を動かす仕事をしたいと思ったしもともと手作業も好きだった。8年の事務職を経て、もうスーツに未練はなかった。 「タオル首に巻いて汗かいて、ホント、気持ちいいですよ。冬も、電気は厳禁なので暖房もなく、氷点下の部屋で手足にしもやけができる。季節を肌身に感じます。エアコンの中で働いていた頃とはガラッと変わった。それが自然だし体にもいいでしょ?」。天気のいい日に星かけすると全身まっくろ。風呂でお湯をかけると頭から黒い水が滴る。「正直、こんなに汚れるのかとびっくりしました」と笑いながら、でも汚れは風呂に入れば済むことだしと屈託ない。妻からは「どうやったらそんなに汚れるの」とあきれられ、自分専用の洗濯機も設置された。しかも外に。 8時起床8時半出勤の生活から、今は5時半に起き7時半に会社に入る生活になったがまったく苦にならない。天職だと思いますかと聞くと、まだそこまでは言えないが長く続けたいと思うと言う。まだやったことのない仕事も多いので、まず一通りの仕事ができるようになりたい。ゆくゆくは多重芯のなかでも現在最高の五重芯まで仕込みたい。そして将来は一流の花火師になりたい。ここで一流になれば全国的にも注目される花火師なのだから。 今年の夏、東海村の花火大会で、3分程度のスターマインの担当を任された。仕込みだけでなく、企画・構成も考えるのは、また一段と楽しい。こうやれば盛り上がるだろうな、お客さん、喜ぶだろうなと、あれこれ思いをめぐらせている。観光協会にいたときは、家に帰ってまで仕事のことを考えることはなかったが、今、花火が頭から離れることはない。花火は、今や生活の一部である。
■ 業界 :
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野村花火工業
あいかわらず元気にしています。今年の夏は、いくつかの競技会に私のプランで出場しました。8月9日ふくろい遠州の花火 2008 では、スターマイン「絆〜一番大切な人へ」を担当しました。9月6日諏訪の全国新作花火競技大会では玉の新作「秋の気配」を出品し、殊勲賞をいただきました。 入ると思っていなかったので、とてもうれしかったです。 ( 2008/9/8 新堀雄一さんより)
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